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【beatmaniaIIDX】穴冥DBMから知るクリアを極める楽しさ - SILENT

 

 

こんにちはDJ SILENTです。 コナミ音楽ゲームbeatmania IIDX(以下、ビートマニア)のDOUBLEプレイヤーです。難しい譜面を攻略するのが大好物です。

今回は音ゲー読書感想文ということで、穴冥DBMについて語ろうと思います。

 

まずは曲と譜面の概要から説明します。

 

ビートマニアの最高難易度曲の1つ。 20年以上続くビートマニアにおいて長期間にわたって最強の座に居座り、最高段位「皆伝」の最終課題曲の常連でもあるこの曲はビートマニアの顔といっても過言ではない。

このゲームでは同曲の最高難易度モードをANOTHERと呼んでいるため、「穴冥」と呼ぶことが多い。

 

DBM

Double Battle Mirrorの略。

ビートマニアは7つの鍵盤と1つのターンテーブルで遊ぶSingle Playモード(=SP)が主流だが、それを2つ並べて右手と左手でそれぞれを分業させるDouble Playモード(=DP)が存在する。

通常のDPはSPとは独立した専用譜面が作られており、SPの譜面を左右2つに適宜分離させるように作るのが一般的である。 ところがこのDBMはSPの譜面を分離せずにそのまま左右に配置させるモードであり、一言で言うと大変難しいモードである。

より難しい譜面を攻略するために、左右のどちらか片方のSP譜面を反転させるMirrorオプションを用いて左右対称にして視認しやすくしていることから、これらをまとめてDBMと呼んでいる。

ちなみにこのモードだとターンテーブルは物理的に困難なため、鍵盤以外はオートモードにするのが一般的な遊び方である。(ここは賛否両論ある所だが、元々記録対象外な特殊モード扱いのため、ゲームを楽しむ幅を広げることを優先したい観点ではターンテーブルオートは妥当とも言える)

 

穴冥DBMの実際のプレイ動画はこちらになります。 

www.nicovideo.jp

 

早速この譜面についてお話をしたい所ですが、 この譜面を語る上で音ゲー全般についてお話をしたいことがあります。

それはずばり、

 

読者の音ゲーマーのみなさんは音ゲーを楽しむにあたって何を軸にしていますか?

 

です。

曲・譜面・遊び方が多岐にわたる音ゲーでは楽しみ方は無数にあると思いますが、大きく分けると以下の2つが大多数なのではないでしょうか。

 

・難しい曲をクリアする楽しさ

・スコアを伸ばす楽しさ

 

これを以下のように言い換えると、

 

・難しい課題を60点目指す楽しさ

・既に60点取れている課題を100点に近づける楽しさ

 

といった感じでしょう。

誰しもそのゲームの初心者の頃はやったことない曲・クリアしてない曲だらけです。 それらをどんどんクリアしていき、夢中に遊んでいるうちにクリアマークが沢山点いてきます。これが前者の遊び方です。

一方で、既にクリアした曲については、ミスを減らしたりスコアを詰めたりするといった「精度」に注目した遊び方をしますね。これが後者の遊び方です。

これは上級者でも同じです。例えばビートマニアの最高段位である「皆伝」を取得していてもクリアできない譜面は沢山あるので前者の遊び方はできますし、皆伝ならクリア余裕な曲も沢山あるので後者の遊び方も充実しています。

 

ではでは、超上級者、それも音ゲー界隈全体のインフレが加速し続けている今の時代の超上級者はどうでしょう?

(「超上級者」とはここでは「常軌を逸したレベルにやり込んでいるプレイヤー」くらいの曖昧さで捉えてください)

 

有名ランカーのツイッター、大量拡散されたリザルト・話題の動画、等々 昔よりも気軽に沢山の超上級者の音ゲー事情を確認できる時代になりました。 とんでもなく上手いリザルトやプレイ動画を観てきたと思われます。 そこで、こう思っている方も少なくないのではないでしょうか?

 

「最終的に100点を目指すゲームなのか………」

 

先に言っておきますとこれは当然正しいです。どの曲どんな譜面でもノーミス理論値が最終地点であり、それ以上のリザルトは仕様上あり得ないことになります。

 

このインフレした時代だと、かつてはクリアすら困難だった譜面すらも98点、99点といった争いが日常化し、殆どの譜面がフルコンボ前提と言われる場合もあり、先程の前者の楽しみ方である「難しい課題を60点目指す楽しさ」が超上級者にもなると味わう機会が殆ど無くなってしまい、後者の「既に60点取れている課題を100点に近づける楽しさ」が主流になっております。

これに対して、中にはこう思っている人はいませんか?

 

「上手くなっても難しい課題を60点目指す楽しさも味わい続けたい………」

 

自分もそうです。スコアやフルコンも楽しいけどクリア狙いはもっと楽しい。

どれだけ上手くなろうが、いつまでも難しい譜面にひぃひぃ言いながら達成感と充実感を得たい、と。

99点を100点にするのは精神的にきついし、経験値もあまり得ているようには感じられない。 けど59点を60点にするのはその譜面に対して課題点が多い状態なのでいくらでも伸びしろがあるし、同じ労力でも楽しく続けられるし、得られる経験値も多い。

細かい点は省略しますが、これが持論です。

 

しかし上手くなるといつかは全部クリアできてしまい、上記の願望を叶えるのは難しい。 ビートマニアのDPはクリアも難しいゲームだが、それでもやり込んでいるといつかは全部クリアして、100点に近づける遊び方が主流になっていくことでしょう。

 

上手くなっても60点を目指すゲームをずっとやっていたい、そんな贅沢な願望を叶えるゲームモード、 それが最初に説明したDBMです。(他にもDBR、DBHR等のオプション自体を縛る難関モードもありますが、今回は譜面難易度に注目するので割愛)

ご想像の通りDBMはクリアだけでも難しい譜面が盛沢山であり、フルコンボできる譜面ですらDBMにした途端(慣れにもよりますが)500個も600個もミスをすることが珍しくないくらい難易度が上がります。

その為、曲によっては100個ミスっても「めっちゃ上手い!」と称賛される等、普通の音ゲーでは味わえない達成感を得られます。(大半の音ゲーにおいて、高難易度譜面であっても100個もミスったらとても上級者とは思われませんよね(笑))

 

このように、難しい譜面を攻略したいクリアラーにとってDBMは大変素晴らしいゲームモードとなります。

長々と脱線話をしましたがようやく本題に戻ってきましたね(笑)

 

クリア狙いをし続けたい超上級者の願望を叶えるDBMモード、 自分はこの難関モードで前述した難関曲の穴冥を攻略したいと思いました。

難しくて楽しくて曲にカリスマ性もある穴冥DBMは、通常のDPを全クリアする前から密かに憧れておりました。

そんな穴冥DBMの魅力について以下に語ります。

 

魅力その1:とても難しい

上述の通り難しさを求めている以上、この魅力は語らずにはいられません。

まず同曲の通常DP譜面を観てみましょう。

 

www.nicovideo.jp

 

こちらもかなり難しい譜面で、実際DP譜面の中では最強候補の1角です。 HARDクリア(ミス数が50個程度)するだけで有名プレイヤーになれるレベルの譜面です。(HARD達成者推定30人程度)

それに対してDBM譜面を再度観てみましょう。

 

www.nicovideo.jp

 

上記の2つの動画は同じ自分のプレイです。(時期も2ヵ月程度の差)

DP譜面は1つもミスすることなくフルコンボできていますが、DBM譜面は動画の最初の方で既にゲージが減っていて、ミス数も80個くらい出ています。 しかも練習量も後者の方が圧倒的に多かったです。

DP最強クラスの譜面をノーミスでも、DBMだとこれだけミスを出してしまう超難易度、そういうゲームなのです。 これこそ自分が求めていた「60点を目指し続けるゲーム」を実現してくれる譜面と言えます。

 

魅力その2:圧倒的な量

難しい譜面と言っても色んな方向性がありますが、見応え重視でいくなら何といっても「量」、つまり音ゲーでいうノート数です。

SP譜面は2000ノート数なので、DBMだと脅威の4000ノート数!(ターンテーブルは無しなので厳密には3904ノーツ) 現時点のSP、DPの最高ノート数は2477個のため、量だけで考えても規格外なことが分かります。

約2分間で3904個を殆ど休息無しで叩くため、1秒間で約32.5回ボタンを押し続けている必要があります。

 

この満足感、このヤケクソ感は公式の音ゲーでは中々味わえないので最高です!

 

普通は高難易度譜面でも「簡単⇒難しい⇒簡単⇒難しい」といった風に適度な緩急があり、一定以上の品性を保っている印象を感じることが多いです。

ところがこいつはその点も容赦無しの荒くれ者です。 最初の20秒は軽いジャブだった穴冥も、DBMでやると重いジャブに豹変し、もうこの時点でDPの穴冥より難しいです。

 

ひたすら沢山叩く・常に難しく忙しい・とても速い

もはや一種の修行にすら感じますね。

 

魅力その3:スリル感のある譜面構成

量だけではなく質でもこの譜面は最高レベルです。

常に難しいのですが、その中でも中盤の譜面が遅くなる所(通称「ソフラン」)はビートマニアの中でも異質な難しさです。

前半の難所を切り抜けた後に突然曲が静かになると同時に譜面が遅くなり、独特の緊張感を引き立たせます。 遅くなるのと同時に譜面傾向もガラリと変わり、連打の多い譜面となります。

 

「ここからは一筋縄ではいかないぞ」

 

そんなメッセージを感じます。

そこから中盤の難所に入るわけですが、その画像がこちらです。

 


 所々書かれている数字は曲の速さ(bpm)ですが、ここは1小節ごとに10ずつ加速して徐々に難しくなっていく構成です。

しかも何とこの譜面、加速しても連打を緩めることはなく、ほぼ同じ頻度の連打のまま加速し続けるという容赦無しの譜面構成となっております。

実際に左と中央の列をご覧ください。速くなっているのに密度も連打も顔色一つ変えずにプレイヤーを襲い掛かってきます。

この容赦のなさ、まるでシャトルランのような厳しさを感じ、プレイヤーにとっては正念場といっていい箇所です。

連打の後は超物量ラッシュ(秒間約60ノーツ)⇒高速トリル⇒超高速階段(両側にbpm200の32分)⇒後半パート、といった譜面構成でこちらも難関極まりないです。

 

まとめますと、

 

・曲が静かになった所で緊張感が高まる

・譜面のスピードと難易度が上がり続け、徐々にテンションも上がっていく

・約30秒の中で様々なタイプの難関(ソフラン、連打、物量、階段)を強いられるので、色んなプレイヤーにとって見所がある

 

このように中盤は難易度・見応え共に素晴らしい構成となっており、多くのプレイヤーがこの譜面に魅了されるのも納得です。

 

後は見た目も美しいですよね。 縦に伸びた連打状のノーツの並びが加速しながら似たような形で何度も降ってくるあの構成、塔のような造形物、まるでSASUKEのFINALステージを観ているような別格オーラすらも感じます。

 

 

ちょっと似てません?(笑)

見た目シンプルなの最難関なところか。

クリアを突き詰めると譜面を眺める機会も多くなるので、こういう美も感じる時があります。

 

魅力その4:DBMならではの難しさ

今回は穴冥に加えてDBM譜面ですので、そのモードならではの難しさも勿論あります。

 

まずは配置

DBMなので本来は両手でSP譜面を叩くのを、片手で叩くことになるため、全くの別ゲーになります。

みなさんも今遊んでいる音ゲーを片手でやれと言われたら全然違う競技になりますよね。 ビートマニアはボタンが小さいので、比較的片手でも遊びやすいゲームではあるものの、それでも両手だと簡単だった配置が片手だと難しいなんてことは日常茶飯事です。

片手の難しい所は主に以下の2つです。

 

・指をその配置通りに置くことの難しさ(横方向の難しさ)

・指を独立させて動かすことの難しさ(縦方向の難しさ)

 

前者は「5個同時に押す配置を、両手だと2個3個に分業できるが、片手だと5本の指で5個カバーしないといけない」

後者は「連打+4つ打ちのような異なる2つの動きを要求されたら、両手だと各々に分業できるが、片手だと5本の指で独立してこなさないといけない」

くらいのイメージで十分です。

 

穴冥DBMに関しては、なんと横方向・縦方向のどちらも片手的に難しい構成となっております。

この譜面はとても難しいので特殊な攻略法を使う都合上、高速部分では片手で4個5個同時に押すことが非常に多く、配置パターンも多いので横方向の難しさは申し分ないレベルです。

更に前述した中盤の難所、連打しながら他の譜面をこなさないといけないので指の独立性を要求され、縦方向にも難しいです。 ただでさえバリエーション豊富な譜面なのに、DBMでやると片手特有のやりがい要素が多く詰め込まれているのです。 それも穴冥がパワー系とテクニック系を両立させた譜面構成だからなのでしょうね。

 

配置の他に難しいのは、ウイニングランが無いことです。

普通、穴冥はSPもDPも、「前半やや難⇒中盤難⇒後半簡単」という難易度関係です。中盤の難所を抜けたら以降はウイニングランで、まず落ちません。

一方でDBMは単純に譜面を2倍にしているため、難所だけではなく回復地帯も倍になっています。 つまりほぼ全て難所に化けます。

中盤を抜けても後半はウイニング難所です。

 

冥は特にウイニングランの印象が強い譜面なので、そのウイニングランも難しくなった点で、DBMでやった時の別物感が強かったです。 同じ曲を別モードでやる時の面白さは、こういう今までになかった一面を知ることができることだと思いますね。

 

魅力その5:カリスマ性がある

こちらは穴冥そのものに関係する話ですが、やはりこの曲は今でもビートマニアトップクラスにカリスマ性がありますね。

 

17年前もの大昔に登場した曲であるのにも関わらず今でも最強クラスのこの譜面、当時は人類には早すぎる規格外難易度と扱われておりました。

ところが人類の進化は凄まじく、長い歴史を経てHARDクリアが現れ、AAAが現れ、フルコンボが現れ、3800点超えが現れ、3900点超えが現れました。 穴冥の歴史は人類の成長を物語っております。

また、長きにわたり段位認定「皆伝」のボス曲を勤めております。 当然段位認定でも難易度は凄まじく、皆伝合格の最大の壁です。 一番多くの挑戦者に絶望を与えた曲であり、一番多くの合格者に感動を与えた曲です。 初合格時のウイニングランでプレイ中に泣いた人も数知れず。

 

人類に絶望・感動を与え、人類の成長に貢献してきたこの曲。

 

自分も例外ではありません。

SP皆伝、DP EXH、SP EXH、DBM HARD、DPフルコンボ、片手皆伝、DBM EXHARDと何度もお世話になりました。何度も絶望し、何度も感動し、その度に成長させてくれました。

 

また、このカリスマ性の要因としては、譜面の他にも、譜面を引き立たせる曲にもあると思います。

 

序盤の吸い込まれるような曲開始、宇宙への旅たちを感じさせます。

前半のボスボスしい雰囲気ながらも、決してあからさまで説明的なカッコよさではなく、異質のオーラを放つ別格感。

中盤の低速に入って曲が静かになり、そこからシンバルの音と同時に何度も加速していく緊張感を増幅させる流れ。

中盤の難所を抜けた瞬間に曲の雰囲気も解決的な雰囲気に変わり、物悲しいながらもプレイヤーを祝福してくれるかのような妙に優しさを感じるピアノ。

最後の少しずつ消えていくかのような減速。

 

たった2分間で音ゲープレイヤーに絶望と感動を与える譜面に相応しい曲だと思います。

 

魅力その6:クリアを極める面白さを教えてくれた

最後の最後にタイトル回収です(笑)

前置きの長い説明の通り、自分は重度なクリアラーなので、難しい譜面を60点目指して達成感を得る体験をずっと繰り返していきたいと思っております。

 

この穴冥DBM、語ってきたように大変難しいため、スコア度外視でただクリアするだけでも大絶賛されました。60点取っただけなのにかなりバズりました。

自分自信もこの譜面を初めてクリアした時の達成感は他の何にも代え難いものでした。 絶対無理だろうと思っていたことが何カ月も取り組んでできた時のあの放心状態に近い感覚、今でも忘れません。

 

譜面も曲も完成度が高く、やり応えのある骨太な難易度で、自分自信に絶望と感動と成長をもたらしてくれた神曲・神譜面の「穴冥DBM」は、

 

・上手くなっても60点目指すゲームをやって達成感を得られる素晴らしさ

・難しい課題に本気で取り組む楽しさ

・クリアを極め続ける面白さ

 

を強く教えてくれました。

本気で取り組み始めた時、試行錯誤に苦労した時、何カ月間も練習してようやく達成した瞬間、振り返って思う時、それらを幾度も再認識させられました。

 

以上、穴冥DBMの魅力とクリアを極める楽しさについて長々と語りました。 この記事を通して少しでも冥の魅力、DBMの醍醐味、クリア狙いの面白さ、ビートマニアの素晴らしさ、が伝わっていただけたら幸いです。

ここまで読んでいただきまして誠にありがとうございます。